国際的に知られるファッション・デザイナーの作品と、そのデザインの源泉となったスペインの絵画や写真、民族衣装などを比較展示することにより、〈スペイン的なるもの〉が世界のファッションにおよぼした影響を紹介します。展示作品は約70点。デザイナーが自ら選んだ、スペインの図像からインスピレーションを得たドレスが見どころです。
ゴヤやベラスケスの絵画に描かれた王女や伊達女(マハ)の衣装、フラメンコやジプシーや闘牛のスタイル、あるいはダリの美術作品など、モードに取り入れられたさまざまなモチーフのなかに、各デザイナーが魅せられたスペイン世界が凝縮されています。スペインのクリストバル・バレンシアガやロエベは言うまでもなく、ガブリエル・シャネル、イヴ・サンローラン、クリスチャン・ラクロワといった華やかな顔ぶれがそろいます。
キュレーターは、ファッション・カメラマンのマヌエル・オウトゥムロ氏。彼は撮影を通じて、スペインの自然や精神のエッセンスはモードによって強調され、世界へ知られるようになったと直観しました。撮影現場で培われた審美眼と人脈があってこそ実現する展覧会ですから、カタログに掲載されるドレスの写真はもちろん、彼自身が撮影しています。