アルタイ地域はユーラシア大陸の中央に位置し、ロシア、モンゴル、中国の国境が交わる、美しく豊かな自然に囲まれた地域です。また、古くから東西の文明をつなぐ地域としてそれらの影響を受けながら独特の文化を形成してきました。アルタイ地域は日本とは遠く離れていますが、日本語と言語構造の共通性はよく知られています。また、弥生時代の日本の青銅器文化の起源も、この地域と関連しているとされ、決して無煙の地域というわけではありません。
今回、日露修好150周年を記念して、ロシア科学アカデミーが所蔵するロシアのアルタイ地域の歴史、民族資料を展示します。なかでも今回が海外初公開となる、約2500年前の遊牧民族の古墳から見つかったミイラは凍土の中にあったため、身に付けていた衣服や靴なども残り、更に肩に文身(いれずみ)をしていたことまでわかりました。これらの驚異の品々から東西を駆け巡った遊牧民族のさまざまな姿を垣間見ることができます。この他、古くは約4万年前の旧石器時代のマンモスの全身骨格や古チュルク時代(7~9世紀)から元の時代(14世紀頃)まで及ぶ、中央アジアを席巻したトルコやモンゴル等の諸民族の遺品、18~20世紀の婚礼衣装やシャーマンの道具などを通じて、日本文化との遠いつながりを感じていただければと思います。